蜘蛛。ハエトリグモとかアシダカグモ(通称が「軍曹」である、とても強そうだ)とか有名だろうか。
昔から蜘蛛が苦手で、見かけるたびに身震いしていた。しかし、ある程度のサイズなら何とか耐えられるようになってきたのだ。それは、家に害をもたらす虫などを食べると知ったから。それだけではない。
苦手を克服しようと小さな蜘蛛を眺めていたらだんだん愛おしくなったのだ。小さな蜘蛛はミニなサイズで一生懸命動き回る。それがとても可愛かった。そんなことを繰り返すうちに、少しずつ蜘蛛に慣れてきたのだ。
ところが一度、蜘蛛で「死ぬかと思った」ことがある。
運転中、突然蜘蛛が目の前に垂れ下がったのだ。とてもスピーディに糸から垂れ下がり唐突に視界へと現れた。
一瞬息を飲んだ。
声をあげそうになるのをこらえて車を止めた。運転している道が大通りでなくて本当に良かったと思った。
そして窓を開け、指でさっと糸を巻き取ると、蜘蛛を外に逃がした。殺したくはないし、自然に帰すのがいいだろう。
あのときの蜘蛛は小さかった。でもとても素早かったので驚いてしまったのだ。
待て、蜘蛛から見たら「うわああ下りてみたら人間がいるぞーーーーなんだこのデカさは!」という事態。
私が蜘蛛に驚いた、というより、蜘蛛が私に驚いたのかもしれない。